いわき名物ガイド

女将の手作り朝ご飯で始まる一日「岩惣」

いわきのお宿 温泉旅館編 温泉旅館の楽しみ方!その2

私は湯本温泉のある町で生まれ育ち、現在も湯本町に住んでいます。
よく「遠方から知り合いが来て宿泊するのだけど、湯本の旅館どこがいいかな?」と聞かれます。でも実際、温泉街に近い場所に住んでいると立ち寄り湯を利用することはあっても宿泊することはめったにありません。
「私のおススメの宿を見つけられたらいいな」と県民割プラスを利用し、地元応援の意味も込めて常磐湯本温泉にある「岩惣」に宿泊することにしました。
フロントで受付を済ませると「女性のみのサービスです、お好きなものをお選びください」と案内され、見るとカウンター下に浴衣の上に羽織る半纏(はんてん)がありました。色も柄もさまざまで、私はピンク地に白い小花を散らしたものを選びました。

フロントわきには図書室があり、ロビーのソファ席で新聞や図書室の本を読むことができます。
気に入った本を部屋に持っていって読むこともできるようでした。旅先で読書をしながらゆったり過ごすというのもまたいいですね。

ガラスのショーケースの中にもいろいろなものが並べられており、私は「理想の夫婦」と書かれた紙が気になりました。こちらのご主人と女将さん、きっと仲がいいんだろうなぁ。

階段の下には石に描かれたカニやエビがありました。カニが描かれた小さな石は買い求めたものだそうですが、少し大きめの石に描かれたカニとエビはこちらの旅館のご主人が描いたそうです。竹の根元でつくったというカニもありました。
こちらの旅館は6年前までは割烹旅館だったそうです。現在、夕食は提供せず、朝食のみを提供しています。
2年前から、割烹旅館だった頃に使用していた食器を販売しているとのこと。
旅館のあるこの地区は吹谷(ふきや)という地名なので、それにかけて「福器や」(ふきや)という名前にしたそうです。
旅の思い出に購入される方や、以前は母娘で宿泊された方が、結婚を控えた娘さんの新生活のために、気に入った食器を購入されたこともあったのだとか。

私の実母も義母も器が好きで、義母とデパートに行くと毎回必ず行くのが食器売り場でした。素敵な器を眺めてはよくおしゃべりしていたので、その頃を思い出して器を見ながらワクワクしました。
中古品だけでなく未使用品もありますので、掘り出し物が見つかるかもしれませんよ。
夜遅くまで作業したいなと思ったので、2つに分かれているタイプのお部屋がいいなと思い和洋室をお願いしました。

手前にベッドがあり、奥が和室になっています。
お部屋のタイプにもよりますが、こちらはユニットバス付きのお部屋でした。

テーブルの上にはおしぼりとパズル、フラ女将や町の飲食店のお知らせなどが置いてありました。
湯本温泉の旅館の女将さん達は着物姿でフラダンスを踊る「フラ女将」なんですよ。

お部屋にはお茶やコーヒーのセットがありました。電気ケトルはお湯が沸くのが速いですね。その都度必要な分だけお湯を沸かしてお茶をいただきました。

お部屋ごとにそれぞれ違った生花がさりげなく飾ってあり、心がやわらぎました。

ちなみにこちらの和洋室は1室しかないそうなので、このお部屋をご希望の方はお問合せくださいね。
お待ちかね、最上階のお風呂へ。
宿泊したお部屋が5階で、お風呂はすぐ上の6階だったのでそのまま階段を上ってお風呂へ。館内での移動が少ないのもいいなと思いました。
宿泊のお客様だけでなく立ち寄り湯としても利用でき、人気のようでした。

脱衣場にはバスチェアやベビーベッドが置いてあったので、小さなお子さんと一緒にお風呂に入るのも安心です。

最上階なので脱衣場や浴室の窓からの眺めもいいです。
お湯は少し熱めですが私にはちょうどいい湯加減でした。

お風呂には馬油のシャンプーやボディマッサージ用の塩、炭入りの洗顔フォームなどがありました。
宿泊や立ち寄り湯の楽しみってお風呂に備え付けの、今まで使ったことがないシャンプーやボディソープを試すことができること。馬油のハンドクリームは使っていますが、シャンプーはどんな感じかな?

脱衣場にはウォーターサーバーや汗とりタオルが用意されていたので、お風呂上がりに冷たいお水をいただきました。こういうサービスは嬉しいですよね。

チェックインした日と翌朝と2回ほどお風呂に入りました。
初日にお風呂から上がるともう22時近くになるというのに、従業員の方が脱衣場の床に落ちている髪の毛などを取ったり、簡単なお掃除をしていました。聞いてみると定期的に行うのだそうです。「こんな遅い時間までありがとうございます」と頭が下がる思いでした。心地よく過ごせるのは宿の従業員の皆さんの、ちょっとした心づかいなんですね。
宿を予約するときに「朝ご飯はどうしますか?とても簡単なものですけど550円で朝食付きにできますよ」といわれたので朝食付きにしました。(当日注文は660円)
宿のWebサイトでも「喫茶店のモーニングのような朝食」と書いてあったので、“トーストにゆで卵”をイメージしていました。

朝食会場に行ってビックリ。女将さんが作る卵料理のほかに、いろいろなおかずがテーブルに並べられて「えっ⁉︎」と驚きました。
卵料理は目玉焼きかスクランブルエッグを選択するのですが、目玉焼きはちゃんと玉子がふたつ皿にのっていて「あ、ちゃんと目玉になってる」と息子。(我が家の目玉焼きは目玉がひとつなので)

トースト用のジャムも手作りで、なくなると違う種類のジャムがでてきました。
煮物の優しい味付けにほっこりして、ご飯もパンも両方いただきました。洋食派の人も和食派の人も満足する朝ご飯です。
しそジュースやデザートの酒粕ミルクプリンももちろん女将さんのお手製です。

割烹旅館時代から使っている器に盛られたお料理は目も楽しませてくれました。

朝食会場にはビジネスのお客さまのほかに家族連れの方や1人で宿泊されている女性のお客さまなどさまざまでした。1人で宿泊する場合でもシングル用のお部屋があるそうなので、女性の一人旅にもおススメです。
朝は太陽の光が差し込むお部屋です。
私はこの町で育ちこのすぐ近くの中学校に通っていたので、窓から見える風景になんだか心がホッとします。毎日、通学で見ていた風景だからでしょうか。こんなとき「ああ、私も歳をとったんだなぁ」としみじみ思います。
夕食は提供していないので朝食付きか素泊まりプランになります。
駅前には私もお気に入りの飲食店がいくつもありますので、散歩がてら夕食に出かけるのもいいと思います。(近隣の飲食店についてはフロントにお問い合わせください)
2階には電子レンジや自動販売機が設置されているので、近くにあるコンビニで買ったものやテイクアウトしたメニューをお部屋でいただくのもいいですね。
駐輪場もあるので自転車やバイクの方もどうぞ。
シングルルームもあるのでお一人での宿泊にもおススメです。
ワ―ケーションプランのほか、コワーキングスペースや日帰りお部屋のみプラン(各種サークルなどにおススメ)など、宿泊しなくても利用できるプランがあります。
コインランドリーもあるので、連泊される方も快適に過ごせますね。

「岩惣」は主婦のプチ休みにもビジネスにも、そして家族連れにもおススメの宿でした。

(取材日 R3/12/5時点の情報ですので詳しくは宿にお問合せください)
宿での夕食の提供はありませんが、周辺には美味しいお料理を提供するお店がありますよ。
この記事を書いた市民ライター
山田 亜希子

山田 亜希子

いわき芸術文化交流館アリオスが発行する「こどもをつなぐ、まちとつなぐコミュニケーションペーパー キッズ★アリペ」市民編集部員。
いわきでの子育て情報を発信している「いわきこどもプロジェクト」管理人。

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