遠野和紙の紙すき体験に行ってきました

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2019年、ベラルーシ共和国から次女の友人二人がいわきに遊びに来ました。「どこに行こう?」と考え「そうだ、紙すき体験をしよう!!」と遠野に行きました。
遠野和紙工房はいわき市遠野町入遠野(いりとおの)地区にあります。近くには遠野オートキャンプ場があり、自然豊かな場所です。
まずは和紙や遠野和紙についてお話を伺いました。
和紙の産地は日本各地にあり、福島県ではいわき市、二本松市、福島市、郡山市、西会津町、会津柳津、鮫川村、山舟生にあるそうです。

遠野和紙は400年前から受け継がれてきました。
遠野町では瀨谷やすおさんという方が紙すきをしていたそうですが数年前に他界。いわき市が継承者を募集し、川崎から平山さんご夫妻がいらっしゃって2019年当時はお二人で紙すきをしていました。

平山さんからお話を伺って驚いたのは日本の紙幣が実は和紙でできているということ。和紙は楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)が原料なのだそうですが、紙幣には三椏(みつまた)が使われているそうです。

新元号「令和」の出典は「万葉集」ですが1200年も前にできた万葉集は和紙でできており、そのような昔に作られた万葉集は今でも見ることができます。そこで和紙は世界から注目されるようになりました。
というのは、洋紙は100年ほどしかもたないのに対し、和紙は1000年〜1500年ももつからです。実際、長い期間保存しておきたい資料などには和紙が使われているそうです。フランスのルーブル美術館でも使われているのだとか。

そこで和紙と洋紙を触ったりちぎったりして違いを比べました。和紙は繊維が相互に絡みついているため、洋紙のように簡単にちぎれることはありません。

遠野地区では小中学校の卒業証書は遠野和紙で、また遠野高校(2022年4月 いわき湯本高校と統合)では自分の卒業証書を自分で漉いた和紙で作っているのだそうです。

そして平山夫妻は遠野和紙を使った商品開発をしているとのことでした。
工房の裏を案内していただきました。
和紙づくりに欠かせない楮(こうぞ)を育てています。夏には2〜3メートルにもなる楮(こうぞ)を秋に刈り取ります。

緑色の葉はトロロアオイです。根をハンマーでたたくと寒いとき(15℃以下)だけ粘りが出るのだそうです。その粘りが和紙づくりには欠かせないのだとか。
トロロアオイは別名花オクラといって、オクラ科の植物で花は食用になるそうです。

写真の白い木が楮(こうぞ)で根っこ状のものがトロロアオイになります。楮(こうぞ)は白い皮を、トロロアオイは根を使うそうです。

秋になったら楮(こうぞ)を煮て乾かし、皮むきをします。黒皮から白皮になり、それを煮て切り取ります。その後、ゴミ取りをするそうですがそれに3~4日程度かかります。この時、ゴミをきれいに取り除かないと白い紙ができないのだそうです。

その後、木の棒でたたいてバレーボールくらいの大きさになるまで、男性だと2時間、女性なら3~4時間ほどたたきます。
ですが機械を使うとその木の棒でたたく作業がたったの5分で終わってしまうのだとか。
まず説明を聞き、それから紙すき体験が始まりました。
今回は化学粘剤を使います。トロロアオイの根もこのように粘りけがあるのだとか。これらは水と紙が分離しないように、楮(こうぞ)を水面に均一に浮くようにする役目があるそうです。

元々紙すきは女性の仕事だったそうで、紙すきをしている方の手はすべすべで「紙すきの原料が関係しているのかな」というお話でした。

水と和紙の原料、粘剤が入ったものをよくかき混ぜます。ほうきで掃くように手を動かします。

型に水をすくって左右に10回程度揺らして水分を下に落とします。左右に動かすことで繊維が絡まり紙になります。
ただ揺らしているだけのように見えますが、実はそれぞれ性格が出るのだとか。平山さんご夫妻も同じように左右に揺らしているつもりでもそれぞれ出来上がりが異なるのだそう。おもしろいですね。

型から外し、水分を飛ばします。その後、透明なファイルに挟んで自宅に持ち帰り、窓ガラスなどを利用して乾かすと和紙が完成します。
私たちはハガキサイズの紙すきに挑戦しましたが、賞状サイズの紙を漉いているところも見せていただきました。
厚紙は溜め漉き(ためすき)とよばれる手法で漉きます。こちらは中国から伝わったそうで、私たちが体験したのは溜め漉きの手法でした。

溜め漉きの手法が日本に伝わった後に障子紙や半紙などの薄い紙が必要となり、やがて日本独自の流し漉き(ながしすき)が生まれました。
流し漉きは型に水をすくっては捨て、すくっては捨て、を繰り返すため繊維が絡みついているので薄いのに丈夫なのだとか。

遠野高校の生徒さんたちは自分の卒業証書を流し漉きの手法で漉くのだそうです。必ずしも上手にできるわけではなく、人によってはできあがりが波打ってしまうこともあるそうです。それも個性ですね。

紙すき体験はこれで終了です。所要時間は大体1時間程度でした。和紙に関する興味深いお話も聞けて大満足でした。

※平山夫妻は遠野地区の地域おこし協力隊として活動していましたが、任期満了に伴い卒業。現在は新たなメンバーが地域おこし協力隊として遠野和紙の技術継承に従事しています。
平山夫妻は2021年5月に「遠野紙子屋」をオープンさせ、地域に根ざした活動をしています。
現在は遠野紙子屋または遠野オートキャンプ場で紙すき体験をすることができます。紙すき体験の申し込みは遠野紙子屋で受付けていますので、事前に申し込みをしてからお出かけください。寒い冬の時季の方が作業することがいっぱいあるのでオススメだそうですよ。

遠野紙子屋では遠野和紙や雑貨、コーヒーの販売も行っています。
遠野和紙を使って作ったという鎌倉発祥のブラッサムアート(様々な紙を一枚ずつ染色し、型紙を使わずに花びらひとひらから作り上げていく)の作品も展示されていました。青いバラのブーケやドレスなど、見ていて心がときめくような作品ばかりでした。
平山さんの奥様が遠野和紙に描いた作品などもあり、これからの遠野和紙の可能性を感じました。
紙すき体験は事前に遠野紙子屋にお申し込みください。現在、紙すき体験は遠野紙子屋または遠野オートキャンプ場にて体験することができます。
遠野紙子屋には遠野和紙を使った作品が展示されているほか雑貨やコーヒーの販売も行っているので、遠野にお越しの際にはぜひお立ち寄りください。

住所 いわき市遠野町入遠野前田45-10(入遠野公民館の向かい側になります)
営業時間 13:00〜18:00
定休日 火曜日・水曜日
電話番号 080-4428-6397

(R4/2/7時点の情報ですので詳しくは店舗にお問い合わせください)
この記事を書いた市民ライター
山田 亜希子

山田 亜希子

いわき芸術文化交流館アリオスが発行する「こどもをつなぐ、まちとつなぐコミュニケーションペーパー キッズ★アリペ」市民編集部員。
いわきでの子育て情報を発信している「いわきこどもプロジェクト」管理人。