いわき名物ガイド

森を抜けた先に『国宝 白水阿弥陀堂』?内郷でまち歩き

プロモ隊おススメ観光スポット その7

炭鉱で栄えた時代に想いを馳せ、ゆったり気ままにまち歩き。
好奇心も食欲もくすぐります。
私の小学校や中学校時代、総合学習の定番は炭鉱のことでした。校歌にまで「ズリ山」という歌詞があって、何かしら炭鉱関連の言葉なのだろうとは思っていたものの、それが石炭の山だと知ったのはつい最近のことです。

そんな私が今回コロナ禍で外食も出来ない中で、いわきの楽しみ方はないかと考えて辿り着いたのが炭鉱のまち、“内郷”のまち歩き。内郷は市内でも大きな総合病院が2つあり、病院の街のイメージが強いのですが、Web版のまち歩きマップまで用意されているなんて!「これは一眼レフカメラを片手に行ってみなきゃ」と内郷に降り立ちました。
うちごうまちあるきマップを開いたスマホを片手に、まずは「石炭発見の地」へ。
いわき市の近代産業生誕の地ともいうべき場所、いわきを語るうえで欠かせない場所、と紹介されている「石炭発見の地」。内郷白水町にある不動山トンネルを越えると、時間の流れが変わり、ジブリ映画の世界に迷い込んだような感覚に陥ります。この付近では炭鉱の時代がそこに動かずあって、そのまま時が止まっているような感覚。思わず今通過したトンネルを振り返ってしまうほどです。

トンネルを抜けて右手に入ると、ゆるやかな坂道が続き、みろく沢炭鉱資料館(炭鉱の遺産が展示されている)に向かう道には、この地で初めて石炭を発見し、「いわきの石炭産業の父」と呼ばれた片寄平蔵の頌徳碑や、石炭業の発展に尽力した加納作平翁の碑が祭ってあり、石炭の発見と炭鉱業がこのまちにとってどれだけ大きな存在であったのかが伝わってきます。

坂道の中腹にある「石炭発見の地」からさらに奥に続く自動車は入れない山道は、ところどころに炭鉱が栄えていた時代の歴史を物語る痕跡があり、案内の掲示とQRコードを読み取ればYouTubeで解説が聞ける工夫までされています。
まるでこの場所一体が歴史館みたい。
山歩きまではするつもりはなかったはずなのに、どんどん次の掲示を見つけて山奥へ誘導されるのが面白くて、大人である自分もわくわくして、もっと先まで行ってみたくなるのだから、ちびっこなら冒険している気分になれるこの山道に大歓喜するに違いありません。この山道をさらに歩いていくと、国宝白水阿弥陀堂に到着します。
県外の友人が来た時に、散歩がてら度々案内してきた白水阿弥陀堂。
国宝でありながら、白水阿弥陀堂には蓮の花が咲いていることくらいしかイメージがありませんでしたが、改めて調べてみると浄土(天国)をイメージして作られている浄土庭園なのだそう。
建物が大事にされていることが伝わってくる厳かな阿弥陀堂と、季節の花が咲く庭園も、あの世を模してつくったものだと知ったうえで見れば、それまでとはまた違った印象を受けます。正面からみた阿弥陀堂はもちろんですが、池の奥に見える阿弥陀堂は写真におさめたくなる美しさです。
内郷にある老舗の和菓子屋さん「ふくみや」
豆大福が有名で、「“胃もたれしない”“上品な甘さ”だからいくつでも食べられる」と聞いていたので、作り方にどんな秘密があるのだろうと尋ねたところ、添加物こそ一切使用していないものの、作り方は王道なのだそう。自家製の餡子にファンも多く、春には「桜おはぎ」や「かしわ餅」秋には「月見団子」と、季節に併せてメニューも変わるそう。
私のお気に入りは「胡桃ゆべし」。くるみがたっぷり乗っていて、しゃくしゃくした胡桃ともっちりしたゆべしの相性の良さに、豆大福だけじゃないんだ、と創業半世紀以上の歴史を持つ偉大さを感じます。人気の豆大福は午前中で売り切れてしまうのでご注意を。
ハイキングするには準備がいるし、市街地を歩くのは季節を感じられないからもの足りない。
内郷まち歩きなら、思い立ったその日にでも楽しめる気軽さで、季節と時代の移ろいを感じられます。
まち歩きの羅針盤「うちごうまちあるきマップ」の歩き方には大きく分けて3種類のルートがあり、
今回は入山線沿線を中心に歩きましたが、王道の内郷線沿線、飲食店が多くある好間炭礦専用鉄道沿線も歩く目標ができました。歩くことで、車や乗り物では見えなかった景色が見えてきます。この醍醐味をぜひ皆さんにも味わっていただきたいです。
この記事を書いた市民ライター
栗林 美沙

栗林 美沙

1987年いわき市生まれ。
一度都会で暮らして戻ってきたからこそ分かる、
いわきの魅力をお伝えしたい。
犬、美容、インテリア、美味しいものが好きな自由人。

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